2004/12
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寝床から抜け出せない朝はいつもより静かに時間が流れる
サンザシの実がより紅く見えるほど冷え込む朝に師走始まる
落葉のスピードが早まり別れの悲しさを隠して散り散り
首の圧迫感と温もりマフラーがくれるものは恋に似てる
毛布に包まっていればそのまま死んでも温もり続く気がする
来年をそろそろ誓うオリオンの明かりの下北風のなかで
カップの湯気の向こうに未来を記すぺン一本を希望と呼ぶ
古の追憶に落ちていく今年というものを畳んで片して
敷き詰められた銀杏のうえを冬毛に生え変わった犬が歩く
吐く息白くてもモスクワではさらに白いのだろうと夢想する
焚き火の匂いがする煙も炎も見えないけれど彼方からか
漆の点が六甲の山を燃やさないか気に病む程の紅さ
程よく曇りあまり寒くない日に薄着でコートを羽織る軽さ
苛立ち積もれば積もる程雪のように家族を愛する事知る
だから嫌われて出ていきたい冷たく淋しい思いをさせないように
小春日和銀杏を踏みしめてすこし空に近づいていく坂
町のドーナツ屋の珈琲は琥珀色暖かくやさしく熱い
早口のDJは残り少ない日々をさらに浪費させる
木枯らしが吹くいつも通りの冬に心が落ち着く寒さ辛くも
心傷つける恋は白く美しく冷たい雪原のように
ようやく黒くうねり出した海峡に呟きを流して捨てる
ニコールキッドマンが五番を付けるポスターの外は冬の気配
温そうだか何だか解らない半袖ニットのような季節あり
他人のファーが触れる満員電車は少しだけ柔らかい
二度目の風邪に喉を痛めている間に冬は白く落ちていく
おせちのカタログを捲りクリスマスの話題を聞き話す年末
この朝日が今年最後で今年初めの朝日になる日に蘇生
ひっそり座り見つめる先になべの湯気と今年のトピックスたち
朝靄に霞んで絵空事の町を現実を暮らすため歩く
冷たい雨が今年を洗い流す嫌悪も憤怒もわたしさえも
ルミナリエ真下の雑踏にぬくもりを感じてしまうは孤独
木枯らしの中でコートの襟元を粋に立てて歩きましょうよ
年の瀬に生まれる生命に時は緩く平穏豊かに流れる
凍えた息の欠片を持て余しながらキラキラの瞬間待つ
今日という日々の果てに明日がくることを巡るオリオンが知らす
イルミネーションが片付けられたら年末年始が待っているわ
夢見に迷わされて買うくじは抽選日までの夢を届ける
眠る前の紅茶が夢に誘う眠りを誘う眠りに墜ちる
混む電車は冬の空気に浮かび現実を積み残し走る
パンフレットを眺めている人を見かけて積もる雪を思い出す
瞬きに流星が呑み込まれるそれだけで私は幸せだ
不器用に作った歌を数えながら今年に思いを馳せてみる
散り散り落ちた紅葉は冷たい木枯らしに舞い上がり星になる
空高く棚引く雲と暗く輝く海は冬の色そのもの
川面で遊ぶ水鳥足元の流れのなんと冷たそうなこと
咳一つ沈黙の車内に静かで孤独な波紋を広げる
椿の緑葉に日が飛び込み宝玉のごとく輝いている
寒い日に寒い色を着てみる心のぬくもり漏らさないように
書き綴る文字にも師走らしさばかりで気持ちがなんとなし急ぐ
美しい日々のたったひとつだけどほかとは違う寒い冬の日
風邪を引き喉に木枯らし潜め話す声の艶やかさとはかなさ
テレビばかり載せた雑誌がこたつの上で捲られるを待っている
足元を流れる青い風に耐えて家路にいたる列車待つ
雲や雲少なく闇夜に浮かび自然と口数も少なくなる
ネオンの電球がひとつひとつが輪郭を露にする気温
イルミネイション聖夜本番前に電球の青色吐息
ひとり確かにたっている白鷺のような孤高の強さ持ちたい
コートの裾が風を拾い毛羽立っていく不愉快さと暖かさ
いやだいやだと叫んでも冷たい夜空がみんな吸い込んでしまう
きみは幸せそうだね僕の心はこんなにささくれているのに
何もない誰もいないラグビーグラウンドで烏が逢引いて
見上げれば月地上の星を探しにきた場所にて輝いて
町中に溢れるサンタクロースの有りふれた生活日常
どの人にも等しく訪れる冬の日と冬の静かな手触り
青い酔っ払いが繁華街の中心で気持ち悪いを叫ぶ
柊が凍てついた空を引っ掻き破りそうなクリスマスリース
結露で濡れる窓に指を這わせ目覚めていることを実感する
私はすぐ脱皮したいのにこんな所で電車を待っている
デパートから吹く暖かい風にしみ込んでいるきんいろのひかり
ゆずの無い買い物籠でレジに並んで居たって冬至は暮れていく
ラジオがよく似合う冬至の長い夜の王国と闇の静けさ
銀フレームに羽毛手を伸ばせば降り積もる雪に心騒めく
町の灯すら凍りそうな真夜中星は強く野蛮に燃えている
本と毛布とマグカップで満ちる年末間近の豊かな孤独
結露が世界を潤しても私の喉はガサガサ音を立てる
冬の通勤電車はだれもが無口で日差しだけが跳ねている
一桁の気温が夜に流れ凍るほどの高揚を連れてくる
霜柱を踏みしめたのはいつの日かとアイシング齧って思う
曇天に甘い痛みを感じながらクリスマスを眺める甘さ
微笑含む新しい朝日が昇るのをもう待ち構えている
ツリーのしたに落ちている飾りが微細な淋しさを胸にくれる
刹那さも痛手も夢もイルミネイションがリミックスしてしまう
眼下に広がる明かりよりはるかにささやかな人々の存在
暖かさに満たされたホットチョコレートに心は染まっていく
空白を埋めるために話し込んで新雪は記憶を抱き包む
ひどく暖房の効いた車内を恋人たちがさらに加熱する
愛だけでは足りないのよ体を温めるには守り通すには
今年最初で最後の日に飲む葡萄酒は格別に流れる
公園の砂漠に霜が降りて海に蜃気楼が浮かぶそんな日
雪はなくても生クリームがクリスマスを白く飾り付けている
冷たく寒い朝ほどソフトなトランスは心地よく耳に泳ぐ
唇を油脂にてからせ言うのメリークリスマスって楽しそうに
ケーキを食べる口実でも良い私はそれが幸せなのよ、ふふ
マライアキャリーも昔ほどじゃなくたって今宵は賑やかだよ
死にたくなる事もあるけれど今日の町の暖かさは感じる
クリスマスをすぎると新時代へのラウンチの準備が始まる
飛び立った先がありふれた日々でもいいでも希望感じてしまう
年の瀬の破壊に神の存在を疑いでも祈る人の姿
指折り数えれば数えただけ日々は流れるもう年の瀬だから
クリスマスの残骸すら残らずに七福神飾り付けられる
寒風吹き付けるけれど駈ける師走のなかでは気持ち良くもある
水面の音がほの暗く聞こえる大晦日まであとわずかの朝
土ごと引き抜かれたポインセチアの赤い忘れ形見ただ一葉
新年を迎えられない子の失われた笑顔思い涙する
仕事を終えて休みに足を浸してまた来年強く歩こう
リセットできないならすべて引きつれてでも心は初日に洗う
足早にセールを告げる中吊りに鬼が夫人等が笑っている
今年最後の雨になるかもしれない冷たくても愛しい湿り
蔦の葉はすべて落ちきりコンクリートを顕にするありのままに
暮れ行く日々に暮れ行く人の波が入り交じって暮れ行く年の瀬
ほおを濡らす涙が偽称じゃないことを北風が教えてる
終わり行く一重の今年にさようならと永遠の別れを告げた
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